外出を控えるようにしているの。
もう年だから仕方がないことだけど、
この膝の痛みさえなければ、
もっと楽に生活できるのにね。」
私のおばぁちゃんは86歳。
膝をさすりながらいつもの居間の
指定席に腰かけて熱いお茶をすする。
家ではちゃぶ台スタイルのため、
立ち上がる時はテーブルに手をついて
ヨロヨロと立ち上がり、
ゆっくりと時間をかけて
家の中を移動する。
ちょっと前まではこの季節になると、
居間にはコタツが登場し、
みかんを食べながらよくみんなで
世間話しをしたものだ。
でもしばらく訪れないうちに、
過去の記憶が一変。
すっかりおばあちゃんは椅子に
座る生活へと変わっていた。
スタスタと元気よく歩いていた
おばぁちゃんが、膝の痛みを堺に
ため息の回数が多くなったように感じる。
狭くなった部屋のTV前に置かれた
背もたれ付きの指定席が
深く印象に残りました。
おばぁちゃんはどんな気持ちで
毎日を過ごしてきたのだろうか…。
おじいちゃんが亡くなって
約8年の歳月が経った。
それからおばぁちゃんは
一人で平野家を守り続ける。
一人でテレビの大音量が響く
指定席に腰かけて続けてきた。
どれだけ長い時間を一人で
人生を振り返っただろう。
どれだけこれからの人生に
不安を感じただろう。
いつもは父や母を必要以上??に
困らすおばぁちゃん。
でも、孫の顔には弱いらしく、
私や妻を見ると柔らかい笑顔を
見せてくれる。
そのにこやかな表情を見て
安心することができる。
久しぶりにおばぁちゃんと
ゆっくり話す時間があった。
普段は頑固で意地っ張りで
なかなか本音を言わないおばぁちゃん。
甘いのか厳しいのか意地悪なのか
時にはわからなくなる(笑)
でも、こうして話してみると
なんだかんだいっても家族を
心配してくれている。
きっと自分のことよりも
ずっと父や母、そして僕たちの
ことを心配している。
時が流れていくことで
それぞれの生活スタイルが変わる。
それぞれが時間の中で変わり、
はじめて素直に話せる瞬間が
ふっとした時にやってくる。
心配をかけることも孝行。
素直になれることも孝行。
素直になれないことも孝行。
家族の大切さに気がつくまでに
随分と時間がかかってしまった
僕だけれども、、、。
今は限られた時間の中で
もっと家族から学びたい。
とことん話しがしてみたい。
やっとそう思えるようになった
のかもしれません。
時間が許す限りこれからも
おばぁちゃんと話す機会を
見つけようと思う。
話をする度になぜか自分の
原点が見つかる気がして、、、。
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