今日はとっても嬉しい報告を
伝えたいと思います。
弟が消防試験に2年越しで
めでたく合格しました!!
来年春から晴れて消防士として
世のため人のために誇りある
仕事を志すことになりました。
電話の向こう側で興奮して
はしゃぐ弟の声を聞いて胸が
ググっと熱くなる。
本当によく頑張り抜いた。
彼が合格を掴むまでの道のりは、
けっして楽ではなかったと思う。
大学を卒業後、
大きな希望を抱いて東京の
人材派遣会社に就職。
誰もが知っている有名な企業。
1等地に建つオフィスビル。
高いところから街ゆく人々を見降ろし、
携帯片手にバリバリ仕事をしていた彼。
人が変わったように必死で働く
弟を陰ながら見守っていた。
しかし、数年後。
久しぶりに東京で再会した
弟はどこか覇気がない。
話を聞くと人間関係や
仕事の可能性について
悩みを抱えているようだった。
実は弟は、生まれながらの
病により方耳があまり聴こえない。
その事がトラブルの原因となり、
仕事がうまく進んでいないようだ。
それからしばらくして弟は
仕事を辞めて実家に帰ってきた。
彼は家族に決意を話す。
「耳を治して諦めきれない夢に
もう1度チャンスをしたい!!」
父も母も何も言わずに弟の
決断を受け入れることにした。
それから彼の生活は一変。
流行りのスーツに綺麗な革靴。
オシャレなネクタイで颯爽と
東京の街を歩くビジネスマンから、
ボロボロのGパンにヨレヨレのTシャツ。
財布には小銭が数枚の貧乏生活へ。
生活費、消防試験費、学費を
稼ぐためだけにアルバイトを
繰り返す傍ら、深夜遅くまで
公務員試験対策の勉強に専念。
自由に使えるお金はほとんどなく、
蓄積していく両親への借金と生活費。
まさに平野家の不良債権。
しかし彼にはもう1つ超えなくては
ならない大きな壁があった。
それは、適正な聴力を取り戻す事。
「なんとか人並みの聴力を取り戻したい。」
弟は各地の病院巡りを行い、
大きな手術を繰り返す。
耳の手術は聞くだけでゾッとする。
局部麻酔で側頭部周辺を切り、
頭蓋骨をドリルで削っていく。
一歩間違えれば聴力は
一生戻らないリスクがある。
全身麻酔ではなく手術室の
一部始終がリアルに感じられる
手術は彼をトラウマにさせる。
しかしそんな苦痛に耐えた
手術であっても一向に回復しない。
精神的に追い込まれ、自暴自棄に
なることが何度もあった。
家の中で現実と痛みに苦しみ、
常にイライラしている。
八つ当たりを受けている母は言う。
「願いがかなうなら、あの子の耳と
私の耳を交換してあげたい。叶うなら、、、。」
そうヒクヒクと声を殺して
深夜に涙を流していた。
そして奇跡は起こる。
偶然、
母がTVで見ていた
「名医がいる病院」特集に、
聴力を取り戻すスーパードクターが
神奈川県にいることを知った。
母は慌ててメモをとり、
弟にすぐ行くように勧めた。
それから約1年。
2度の手術で弟は聴力を取り戻し、
消防試験科目の聴力検査を無事パス。
希望を確実に掴み寄せた彼は
食べることすらギリギリまで
節約をして公務員試験に没頭。
そして、消防試験に合格!!
壮絶な努力の末に見事夢を
勝ち取ったのです。
平野家の不良債権から英雄へ
進化を遂げた弟。
本当に私は弟の兄貴として生まれ、
心から誇りに思う。
もちろんこれがゴールではなく
これからがスタート。
消防士たるもの、必ず生きて
現場から帰って来なくてはいけない。
きっと弟には過酷な現場が
待ち受けているだろう。
常に聴力を意識し、火災現場で
仲間の声に全身全霊を傾け、
人を救い、自分がなにより
生きて帰って来なくてはならない。
でも弟なら何があっても立派な
消防士となり、どんな現場からでも
必ず笑顔で生きて帰ってくると
私は信じている。
自分のために、仲間のために、
愛する人のために、家族のために、
これからも必死で生きて欲しい。
有言実行を叶えた私の弟。
勇気と感動を本当にありがとう。
また2人でうまい酒を飲もうな。
0 件のコメント:
コメントを投稿